ファブラボ太宰府

「自分で作りたい」人を増やしたい ファブラボ太宰府

2019年06月21日 デジタルプリンティング, イベント・展示会

福岡県太宰府市に、日本で11番目にできた市民工房ファブラボ「ファブラボ太宰府」があります。国内でも珍しい、企業が運営母体のファブラボで、北部九州を中心に展開するホームセンター「グッデイ」が運営しています。さまざまなデジタル工作機器を備えた工房に当社のUVプリンター「LEF-12」を導入されています。

4月下旬から2週間、当社のUVプリンターなどを搭載したクルマ「COTOVAN(コトバン)」が各地のグッデイを巡るワークショップイベントでは、ファブラボ太宰府も会場の一つになりました。
グッデイでのイベントの詳細はこちら

ファブラボとは
アナログからデジタルまでさまざまな工作機器を取り揃えた市民工房です。個人の自由なアイデアに基づくものづくりを支援するとともに、世界各地のファブラボ間でものづくりに関する知恵やノウハウを共有し、国境を越えて協働するグローバルなコミュニティを形成しています。

当社がこれまでに参加した世界ファブラボ代表者会議の詳細はこちら
FAB12(開催地:中国・深セン)
FAB13(開催地:チリ・サンティアゴ)

ホームセンターが運営するユニークな市民工房にインタビュー

ファブラボ太宰府スタッフの松永裕史さんに、ファブラボ太宰府で取り組んでいることについて伺いました。

ファブラボ太宰府の松永裕史さん

ファブラボ太宰府の松永裕史さん

まずはファブラボ太宰府がどのような場所か教えてください。
株式会社グッデイが2014年9月に設立した、日本で11番目のファブラボです。同じグループ(嘉穂無線ホールディングス)で電子工作などの学習工作キットを扱う株式会社イーケイジャパンの本社の一角を工房に改装しました。工房ではローランド ディー.ジー.のUVプリンターをはじめ、レーザーカッターや3Dプリンター、デジタル刺繍ミシン、大型のCNCミリングマシンなどを使ってさまざまな種類のものづくりを楽しむことができます。

ファブラボ太宰府

ファブラボ太宰府

ファブラボ太宰府がある株式会社イーケイジャパンの本社

ファブラボ太宰府がある株式会社イーケイジャパンの本社

当社のUVプリンターLEF-12を導入されています

当社のUVプリンターLEF-12を導入されています

九州でも珍しい大型のCNCミリングマシンを木材の加工に活用

九州でも珍しい大型のCNCミリングマシンを木材の加工に活用

グッデイがファブラボ太宰府を立ち上げた経緯について教えてください。
ものづくりに強い関心を持つ当社の社長が、当時注目され始めていたデジタル工作機器を使った新しいものづくりを実践するファブラボの存在を知り、自社で立ち上げたいと考えたことがきっかけです。ファブラボの運営でノウハウを培ったグッデイは現在、一部店舗に次世代工作スペース「グッデイファブ」を設置しています。私はグッデイに入社後、ファブラボ太宰府やグッデイファブ大名(福岡市のスタートアップ支援施設内に今年1月までの期間限定でオープンしていた次世代工作スペース)のスタッフを経て、現在はここで専任のスタッフをしています。

企業がファブラボを運営するのは珍しいとお聞きしました。
国内では行政や教育機関、個人が運営するケースが多いですね。九州にある他のファブラボは地方自治体や個人のデザイナーなどが運営していて、運営母体によって雰囲気や活動に個性があります。ファブラボ太宰府は家族で参加できるワークショップを多く開催しています。一部ですがグッデイの店舗で扱う資材やイーケイジャパンの電子工作キットもここで購入できます。

市民の皆さんは工房をどのように利用していますか?
太宰府の市街地という場所柄、主婦の方や親子、アクティブシニアまで幅広い年代の方々に多く利用されています。趣味の作品を作る方、3Dプリンターを利用して夏休みの自由研究を行い、賞をもらった小学生など、皆さんデジタル工作機器を活用して自分の作りたいものを自由に作っています。また、子どもと一緒に来たお母さんがデジタルものづくりにハマり、スタッフに加わってくれたということもあります。

訪問時にはデジタル工作機器を使った会員の作品が展示されていました

訪問時にはデジタル工作機器を使った会員の作品が展示されていました

ファブラボ太宰府の主な活動内容について教えてください。
普段は入会された方への講習やものづくりの相談などを行っていますが、最近はデジタル工作機器を使ったものづくりやデータの作り方を手軽に学べるワークショップを定期的に開催しています。特に初心者でも参加しやすいのが、テーマを決めて行う、デジタル工作をまずはやってみようという企画「ゆるファブ」です。レーザーカッターで実施したところたいへん好評で、今後はぜひUVプリンターでも実施したいと考えています。

また、地域貢献として県内の教育機関とのコラボレーションにも力を入れており、九州大学や福岡雙葉高校の授業でファブラボ太宰府をご利用いただいています。今年は、福岡雙葉高校さんの講座で台湾の学生と一緒にデジタルものづくりに取り組む文化交流プログラムのサポートを行いました。

工房ではUVプリンターをどのようにお使いになっていますか?
ここにあるUVプリンターは先ほど紹介したグッデイファブ大名から移設したもので、大名でUVプリンターに親しんでいた会員が率先して活用しています。たとえば、自作のボードゲームの製作に活用される方もいらっしゃいます。 ユニークな将棋盤で行う新しい将棋「エクストリーム将棋」として、ルールの策定や盤や駒のデザイン・製作まですべてご自身で行い、製品をオンラインで販売しています。

サイコロで決まるユニークなカタチの盤面でプレイする「エクストリーム将棋」

サイコロで決まるユニークなカタチの盤面でプレイする「エクストリーム将棋」。盤面や駒をUVプリンターでプリント

ローランド ディー.ジー.とUVプリンターを使ったワークショップを共同開催

当社と共同開催するワークショップイベントについて教えてください。
ファブラボ太宰府限定で、太宰府とゆかりのある新元号「令和」にちなんだ絵馬風キーホルダーを作るワークショップを行います。レーザーカッターを使った木材加工を見学した後、UVプリンターでのプリントを体験します。キーホルダーの表面に令和のモチーフを自由にレイアウトし、裏面に名前や願いごとなどを入れられます。
※ファブラボ太宰府でのイベントはインタビュー後の4月23日・24日に実施されました。

新元号「令和」のモチーフがUVプリンターで施された絵馬風キーホルダー新元号「令和」のモチーフがUVプリンターで施された絵馬風キーホルダー

新元号「令和」のモチーフがUVプリンターで施された絵馬風キーホルダー

自分の手で作る楽しさを知ってもらえる場所にしたい

ファブラボ太宰府を運営する上で大切にしていることは何ですか?
ファブラボの理念「LEARN(学ぶ)」「MAKE(作る)」「SHARE(分かち合う)」をいつも大切にしています。自分たちが行ったイベントや作ったもののことをウェブサイトで世界中に発信したり、参加したイベントなどの情報交換を行っています。

最後に、ファブラボ太宰府が目指していることを教えてください。
工房として単に工作機器の貸出を行うのではなく、皆さんに機器の使い方を学んでいただき、作り方などをシェアし合うことで、作りたいものを自分の手で作れるようになるお手伝いができればと考えています。ファブ(FAB)という言葉には「Fabrication(ものづくり)」と「Fabulous(素晴らしい)」の2つの意味が込められています。ものづくりに触れ、楽しむ場所としてファブラボ太宰府を多くの方にご利用いただき、「自分で作ってみたい」と思う方がもっと増えることを期待したいと思います。

ありがとうございました。

ファブラボ太宰府は現在、北部九州を中心に活動しており、今後は活動範囲をさらに広げたいとのこと。これからの展開を楽しみにしています!

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