株式会社アイマークの代表取締役社長の茅壁聖子さん(手前右)と印刷部主任の藤原志保さん(手前左)、印刷部の社員の皆さん

インクジェット印刷で船舶や工業製品の表示物をオーダーメイド

2020年12月14日 デジタルプリンティング

大判インクジェットプリンター「TrueVIS VG2-540」を導入し、船舶から工業製品までさまざまな用途の銘板・表示物を製作する愛媛県今治市の株式会社アイマークにインタビューしました。

印刷・樹脂彫刻加工・金属加工でお客様のニーズに合わせた製品を提案

アイマークは印刷・樹脂彫刻加工・金属加工で銘板やネームプレート、ステッカー、サインなどを製作する会社です。全国の船舶関係の企業や機器メーカーなどに製品を納めています。社員の7割が女性で、製作や加工の現場で活躍しています。

代表取締役社長の茅壁(かやかべ)聖子さん(写真手前右)と印刷部主任の藤原志保さん(写真手前左)にリモートでお話を伺いました。

2015年に新設した社屋は社員の働く環境にこだわり、あたたかな木を使った設計に

2015年に新設した社屋は社員の働く環境にこだわり、あたたかな木を使った設計に

Roland DG:アイマークのお仕事について教えてください。

茅壁さん:1994年に私の父が創業し、当時はアクリルに文字を彫り込む銘板を主に作っていました。現在はそこから幅を広げてステッカーやサイン、金属の表示板など皆さんが街で目にするような表示物を扱っています。

以前は印刷部門ではシルク印刷のみ行っていましたが、インクジェットを始めた知り合いの会社から評判を聞き、2005年に導入しました。シルク印刷は職人の技が必要ですが、インクジェットなら自分たちでもできる上に、製作の幅も広がると導入を決めました。それからずっとローランド ディー.ジー.のプリンターを使っていて、VG2-540で4台目になります。

ローランド ディー.ジー.の大判インクジェットプリンター「VG2-540」(手前)やUVプリンター「LEF2-200」(奥)を導入

ローランド ディー.ジー.の大判インクジェットプリンター「VG2-540」(手前)やUVプリンター「LEF2-200」(奥)を導入

どのようなお客様から注文がありますか?

茅壁さん:9割以上がBtoBで、日本各地の造船所や船舶関係の企業から多く注文をいただきます。鉄鉱石・石油などを運ぶ船やコンテナ船などの商船に必要な表示物一式を手がけています。たとえば船内の案内表示や配管ステッカー(水・温水・化学物質などの配管を識別するステッカー)などです。また、機器メーカー向けに機器に貼るステッカーや工場内の注意喚起サインなども作ります。

当社には「印刷(インクジェット・シルク)」「樹脂彫刻加工」「金属加工」の3部門があります。銘板業界では得意分野に特化したメーカーが多いのですが、これらすべてを自社で一貫して行えるのが当社の強みです。お客様の用途や数量、納期に合わせて最適な工法を提案します。インクジェットは1枚からステッカーを作れるので少量生産の機器のメーカーからも喜ばれます。

  • インクジェット印刷

    インクジェット印刷

  • 樹脂彫刻加工

    樹脂彫刻加工

  • 金属加工

    金属加工

細かい文字やベタ塗り表現に強いVG2-540を導入

細かい文字やベタ塗り表現に強いVG2-540を導入

VG2-540を導入された経緯を教えてください。

茅壁さん:以前使っていたプリンター(VS-540)からの入れ替えです。オペレーターの意見も聞きながらいろいろ検討しましたが、印字のきれいさや出力用ソフトウェアの使いやすさからVG2-540に決めました。

実際にVG2-540を導入していかがですか?

茅壁さん:注意喚起サインはベタを多く使いますが、粒状感なくきれいに印刷できます。また、細かい文字を鮮明に印刷できるので、機器メーカーに納めるPL警告表示ラベル(製造物責任法にもとづく製品の注意喚起ラベル)を作るときに助かります。小さなスペースに警告文がぎっしり入ったデザインもクリアに出せるようになりました。

ベタを多用した注意喚起サインもVG2-540できれいに印刷

藤原さん:印刷スピードと画質のバランスがとても良いと思います。長尺の出力でもずれが少ないですね。初期動作も速く、手が届きやすいレバーの配置やメンテナンス・出力時のライトの点灯など、細かいところですが毎日の作業で使い勝手の良さを実感します。

当社では1人のオペレーターがデザインデータの作成から出力まで行います。複数台のプリンターを1台のPCから動かせるので、出力中もあちこち行き来することなくデザインの作業に集中できます。出力用ソフトウェアも画面表示が分かりやすく、直感的に操作できるのが気に入っています。

VG2-540では新たにグリーンとオレンジのインクが加わりましたが、どのように活用していますか。

藤原さん:以前はお客様の指定した色に合わせて印刷するとき、グリーンやオレンジ、中間色の再現に苦労していました。VG2-540ではグリーンとオレンジのインクを使うことで色合わせにかかる時間を半分程度に短縮でき、再現性も高くなりました。

茅壁さん:船舶関係のお仕事では変わった色、たとえばくすんだ緑や青を表現することがあります。市販のカッティングシートにはない色なので、当社ではインクジェットでこれらの色に近づけて納品します。VG2-540ではかなり近い色を出せるようになりました。

「こういうものがあったらいいな」をカタチにしたい

最後に、今後の事業展開についてお聞かせください。

茅壁さん:全国のお客様にはコロナ禍でリモートワークになったところも多く、一時的に取引量が減るなど影響はありました。その間、飛沫感染防止のアクリルパネルを作るなど新たな取り組みも始めています。

お客様の「こういうものがあったらいいな」を一緒にカタチにするのが当社のスタイルです。印刷・樹脂彫刻加工・金属加工を柔軟に組み合わせられる強みを活かし、日々変化していくお客様のニーズを捉えた製品で社会のお役に立てればと思います。

ありがとうございました。

船や工場、機器などの安全を守るためのサインがどのように作られているか垣間見えるインタビューでした。