モノづくり工房Makers’ Baseから学ぶUV プリンターの活用方法(前編)
2017年08月07日 コトづくり, デジタルプリンティング, イベント・展示会
UVプリンターを使用したカスタマイズ製品の製作事例として、以前、Imagine. BLOGでご紹介した株式会社Makers’の会員制モノづくり工房、Makers’ Base Tokyoを訪問してきました。ユニークな工房経営について、前編・後編に分けてお伝えします。
株式会社Makers’は、2013年に東京・目黒に会員制工房Makers’ Base Tokyoをオープン。昨年、都立大学前に移転した工房には800㎡の広々としたスペースに当社のUVプリンターやレーザーカッターなど、さまざまな工作機械が置かれていますが、見た目はいわゆる工房のイメージとは違い、まるでセレクトショップやオシャレな雑貨屋さんのようです。
都立大学前にあるMakers’ Base Tokyoの店舗
今回はCOO(最高執行責任者)である松田純平氏に、“モノづくり”から”コトづくり”を具現化し、国内最大規模の会員制工房となったMakers’ Baseの創業からの4年間、そして将来のビジネスの展望について語っていただきました。
Makers’ Baseの成り立ちについて教えてください。
「遡ると大学卒業後に大企業に就職しましたが、大企業特有の非効率さを経験し、より個人の能力が発揮できる小さな組織で働きたいと思い、10ヶ月で退職しました。その後、コンサルタントとして働いた経験から、大げさですが日本の国力やGDPを上げるにはどうすれば良いのかという命題に、これからは企業よりも個人の能力を上げることが重要になるのではないかと考え始めました。その結果、個人のモノづくりを支援するサービスを立ち上げるという構想にたどり着きました」
「コンサルタントとしてヒューマンリソース、マーケティングを専門に仕事をしていた時に、当時契約していたクライアント(アパレルの副資材メーカーで、Makers’の親会社)から新しい事業の相談を持ちかけられたことをきっかけに、Makers’ Baseの事業の構築を手がけることになりました。その時点では、その後、経営に踏み入るとは思っていませんでしたが(笑)」
株式会社Makers’ COO松田純平氏
Makers’ Baseの事業について教えてください。
「Makers’ Baseは4つのサービスを展開しています。まずは、施設利用。5階建ての各フロアが、木工、デジタル加工、金工、テキスタイル、縫製、陶芸の工房となっていて、フロアごとに目的に合わせたツール、機械が備え付けられています。2番目はワークショップ。“ディズニーランドに行くかのように週末を楽しむ”というコンセプトでこれまでに100種類以上のワークショップを企画し、現在は50種類のワークショップを開催しています。Makers’ Baseの収益の大半を占めるのがこのワークショップであり、美術、芸術系の学校を卒業した専門スタッフや外部のクリエイターの方々が運営、指導にあたります。3番目に加工代行のサービス。自分で製作することには興味はないけれどもオリジナルアイテムが欲しいというお客様に対応したサービスになります。Makers’では、UVプリンターをはじめとする最先端のプリンター、加工技術をはじめ、多様な素材、設備を提供しているので、お客様の要望に対応できる幅は相当広いと思います。最後に物販事業があります。加工代行の延長としてMakers’ Baseオリジナルの商品販売も展開。Makers’ Baseの1階には各種商品がディスプレイされています」
Makers’ Base Tokyoの店舗内の様子。さまざまな素材にUVプリンターでプリントされたアイテム、ワークショップのリーフレットなどが並ぶ
収益の柱となっているワークショップとはどのようなものでしょうか?
「当初は会員制のスポーツクラブのようなビジネスモデルを見込んでいましたが、工房オープンから5、6日も過ぎないうちにこれだけでは立ちゆかなくなると思いました(笑)
”つくる“ことがMakers’ Baseの価値であると考え、それを中心により広いマーケットを模索した結果、UVプリンターなどを使用してがま口ポーチ、iPhoneケース、リング、バングル、バッグなどを製作するワークショップというアイデアが浮かんできました。これはモノづくりに興味がある人ではなく、一般の方たちを対象にしたものです。今では年間で約15,000人の方々にご利用いただいています」
ワークショップはどのような方々が利用されているのですか?
「これまで100種類以上のワークショップを展開してきました。企画運営はMakers’ Base Tokyoのスタッフによるものが中心ですが、中には契約している外部のクリエイターが主催するものもあります。参加する半数は20代の女性で、これは当初から想定していました。現在最も人気のあるワークショップがリング製作で、月間参加者は300人を超えています。女性同士、カップルでの参加が大半を占め、週末には100人を超える方々が工房を訪れます。ちょっと平日には見られない光景ですね。人気になった理由は、時間を一緒に過ごす”コト”を楽しむ、それをSNSで発信する”コト”を楽しむ、そういった需要をうまくとらえたからだと思います」
ワークショップでリングを製作する様子
ワークショップの今後の展開について教えてください。
「現在展開しているワークショップをさらに拡充したいと考えています。現時点では自分用のアイテムを製作する人がほとんどですが、今後、ギフト需要をうまく取り込むことができれば、さらに参加者が増えると思っています。また、将来的には外部の100人のクリエイターの方々にワークショップを主催していただきたいと考えています。そうすることによりモノづくりに関わる方々の仕事を増やすことができ、それがMakers’設立当初の思いに繋がればと考えています」
後編ではMakers’ Baseが積極的に仕掛ける外部出店でのUVプリンターの活用方法についてご紹介します。
Makers’ Baseの詳細はこちら
http://makers-base.com/